ファクタリングの仕訳・勘定科目を具体例で解説|消費税と会計処理の注意点
「ファクタリングを利用して指定口座に無事入金はされたけれど、この手数料や控除された金額は帳簿にどう記載すればいいのだろう。銀行融資と同じように『借入金』として処理してよいのだろうか」
請求書を早期現金化して当面の資金ギャップを埋めた後、決算や月次決算の帳簿付けで手が止まってしまう経営者や経理担当者は少なくありません。ファクタリングは金融機関からの借入(融資)ではなく「保有する資産(売掛債権)の売買」であるため、一般的な融資の返済処理とは勘定科目も記帳ルールも大きく異なります。
東洋経済オンラインや日本経済新聞などの主要経済メディアでも取り上げられている通り、確定申告や決算期における適切な会計処理は、税務調査リスクを回避し、自社の信用力を維持する上で極めて重要な実務プロセスです。
本記事では、売掛金100万円の具体例を用いた3つの仕訳ステップ、消費税に関する国税庁の正式ルール、期末・決算をまたぐ際の注意点、さらには経理書類の透明性が高い優良ファクタリング会社まで、分かりやすく徹底解説します。

Contents
ファクタリング利用後に経理担当者が抱えるリアルな本音と疑問
「入金されたのは嬉しいが帳簿の処理方法がわからない」という焦り

無事に手元キャッシュが確保できた瞬間、経営者や経理担当者の心には安堵感が広がる一方で、「確定申告や決算で税理士に指摘されない仕訳を切らなければならない」という焦りが生じます。特に「手数料の勘定科目は何が正しいのか」「差し引かれた数万円に消費税は含まれているのか」といった初歩的な疑問で頭を悩ませがちです。
| 資金調達の手法 | 会計上の取引区分 | 主な勘定科目 | 貸借対照表(B/S)への影響 |
| 銀行融資・プロパー融資 | 金銭消費貸借(負債の発生) | 短期借入金・長期借入金・支払利息 | 負債が増加する(オフバランス化不可) |
| ファクタリング | 資産(債権)の売買譲渡 | 未収入金・売掛債権売却損 | 資産の組み換え(負債は増えない) |
借入金(融資)との構造的違いと経理上の原則
ファクタリングは貸付ではないため、利息(支払利息)という勘定科目は一切使用しません。売掛金という資産を期日前に売却した「手形割引」に近い取引形態として処理することが会計上の原則となります。
ファクタリングの仕訳で使う主な勘定科目
帳簿をつける際、まず押さえておくべきなのは「手数料」をどの勘定科目で処理するかという点です。
手数料処理の基本は「売掛債権売却損」
ファクタリング会社に支払う買取手数料は、売掛債権を面額より低い価格で売却したことによって生じた損失とみなすため、「売掛債権売却損(うりかけさいけんばいきゃくそん)」(会計ソフトによっては「売上債権売却損」)の勘定科目で計上するのが会計学上の標準的な処理です。
会計ソフトに科目がない場合の代替科目(支払手数料・雑損失・割引料)
使用しているクラウド会計ソフト(freee、マネーフォワード、弥生会計等)の初期設定に「売掛債権売却損」が存在しない場合は、以下の代替科目を用いて処理するのが一般的です。
- 支払手数料(しはらいてすうりょう): ファクタリング会社へ支払ったサービス利用対価として処理する場合。
- 雑損失(ざっそんしつ): 該当する損益科目がなく、営業外費用・雑費として計上する場合。
- 手形割引料(てがたわりびきりょう): 売掛金の早期現金化という割引的な性質を重視して処理する場合。
💡【自社ルール統一の注意点】
代替科目を使用する場合は、期中で科目を頻繁に変更せず、一貫して同一の科目で記帳し続けることが重要です。不明な点は事前に顧問税理士へ相談しておくと確実です。
【実務用具体例】売掛金100万円・手数料10万円(10%)の仕訳ステップ
具体的に「額面100万円の請求書を、手数料10%(10万円)でファクタリング会社に売却し、差引90万円が自社口座に着金したケース」を例に、3段階の仕訳プロセスを解説します。

ステップ1:商品・サービス提供時(売掛金計上)
取引先へ商品やサービスを納品し、請求書(100万円)を発行した時点の仕訳です。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
| 売掛金 | 1,000,000円 | 売上高 | 1,000,000円 |
ステップ2:ファクタリング契約・買い取り実行時(未収入金への振替)
ファクタリング会社と契約を締結し、債権の譲渡が確定した時点の仕訳です。元の売掛金を消し込み、入金待ちの権利として「未収入金」を計上します。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
| 未収入金 | 900,000円 | 売掛金 | 1,000,000円 |
| 売掛債権売却損 | 100,000円 |
※手数料額(10万円)を「売掛債権売却損」として借方に費用計上します。
ステップ3:口座着金時(普通預金の計上)
ファクタリング会社から自社口座へ実際に買い取り代金(90万円)が振り込まれた時点の仕訳です。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
| 普通預金 | 900,000円 | 未収入金 | 900,000円 |
このように、売掛金を一度「未収入金」へ振り替え、最終的な口座振込のタイミングで未収入金を消し込む2段階のクッション処理を行うことで、実際のキャッシュフローと帳簿上の残高が正確に一致します。
【完全網羅】2社間ファクタリングにおける売掛金回収・送金の仕訳プロセス
2社間ファクタリングを利用した場合、売掛先からの入金は依然として自社の指定口座に振り込まれます。この回収代金をファクタリング会社へ送金する際の一連の仕訳手順を解説します。

利用者が売掛先から入金を受け取った時点の仕訳
期日通りに売掛先から100万円が自社口座に入金されたタイミングです。既にステップ2で売掛金は消し込まれているため、この資金はファクタリング会社へそのまま横流しで返還すべき「預かり金」として処理します。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
| 普通預金 | 1,000,000円 | 預り金(または預り受取金) | 1,000,000円 |
ファクタリング会社へ回収金を送金(返還)した時点の仕訳(預り金処理)
売掛先から回収した100万円を、契約に基づきファクタリング会社名義の指定口座へ即座に送金・清算したタイミングの仕訳です。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
| 預り金 | 1,000,000円 | 普通預金 | 1,000,000円 |
この処理を行うことで、一時的に膨らんだ預り金残高がクリアになり、自社口座の資金移動と帳簿の整合性が完璧に保たれます。
ファクタリングの手数料に消費税はかかるのか?
経理処理において最も間違いやすいのが「消費税の課税・非課税区分」です。
国税庁の見解(非課税取引「金銭債権の譲渡」に該当する理由)
国税庁が公表する「非課税となる取引(タックスアンサー No.6201)」の明確な規定により、有価証券や小切手、「売掛金などの金銭債権の譲渡」は消費税の非課税取引と定められています。
ファクタリングは金銭債権(請求書)の売買譲渡取引であるため、譲渡する売掛金額面はもちろん、ファクタリング会社へ支払う買取手数料に対しても消費税は一切課税されません(非課税)。会計ソフトに入力する際は、税区分を「非課税」または「対象外」と設定する必要があります。
【注意喚起】消費税を違法に上乗せ・請求してくる悪質業者の見分け方
一部の悪徳業者は、知識の浅い利用者を対象に「手数料10% + 消費税10%」といった形で、本来発生しないはずの消費税相当額を不当に上乗せして提示・請求してくるケースが報告されています。
見積書や契約書面を確認する際、手数料に「消費税」という名目の加算がある場合は、非課税取引の法規を無視した悪質業者の可能性が高いため、契約を直ちに中止してください。
出典:国税庁ウェブサイト「No.6201 非課税となる取引」
期末・決算をまたぐ場合の会計処理および税務調査の注意点
決算期(年度末)を跨ぐタイミングでファクタリングを利用する場合、税務上の「売上計上時期」に注意が必要です。
売上計上基準(実現主義)と資金化タイミングのズレ
日本の税法・会計基準において、売上高は商品・サービスを提供して請求権が確定した日(出荷日や納品日・検収日)を基準として計上する「発生主義・実現主義」が原則です。
期末ギリギリにファクタリングを利用して資金化手続きが翌期にズレ込んだとしても、元の売上高そのものは当期の決算に計上しなければなりません。「ファクタリングで入金されるのが翌期だから」といって当期の売上計上を翌期へ繰り延べることは税務調査で脱税行為(売上の漏れ)と判定されるリスクがあるため厳禁です。
税務調査で突っ込まれないための契約書・振込明細の保存期間ルール
税務調査の際、大規模な「売掛債権売却損」の計上は税務署の調査官から目につきやすいポイントです。正当な債権譲渡取引であることを立証するため、「債権譲渡契約書」「買い取り見積書」「ファクタリング会社からの口座振込明細」を1セットにし、7年間(法人)大切に保存しておきましょう。
【一覧表】会計処理・仕訳でつまずきやすいポイントと対応策
経理担当者が実務で直面する疑問点と対処法を一覧表にまとめました。
| つまずきやすいポイント | 原因とリスク | 正しい対応の考え方 |
| 勘定科目がソフトにない | 無理に新設して科目体系を崩す | 「支払手数料」等で代替し、期中で科目を統一する |
| 消費税を「課税」で入力 | 消費税申告時の税額計算ミス | 債権譲渡は非課税。税区分を「非課税/対象外」にする |
| 直接「普通預金」で相殺 | キャッシュフローの時期ズレ | 一度「未収入金」を経由して振替処理を行う |
| 契約書控えの紛失 | 税務調査時の損金不算入リスク | 契約書・見積書・振込明細をセットで保管する |
経理処理の透明性が高く書類が揃いやすいおすすめファクタリング会社5選
会計処理をスムーズに進めるためには、契約書・見積書・振込明細などの経理必要書類を迅速かつ明瞭に発行してくれる優良会社を選ぶことが欠かせません。バランスよく厳選した5社です。
経理対応に優れた優良5社のスペック比較表
| サービス名 | 手数料相場の目安 | 主な対象者 | 経理面でのメリット・特徴 |
| PMG(ピーエムジー) | 2% 〜(要見積) | 法人限定 | 財務コンサルティング併設。書類整備が極めて迅速。 |
| 日本中小企業金融サポート機構 | 1.5% 〜 10% | 法人・個人事業主 | 一般社団法人運営。明朗な内訳書面を即時交付。 |
| ベストファクター | 2% 〜 20% | 法人・個人事業主 | 買取診断あり。医療債権等も対応し明確な契約書を発行。 |
| GoodPlus(グッドプラス) | 5% 〜 15% | 法人・個人事業主 | 手数料上下限を公開。明朗会計で仕訳が容易。 |
| SoKuMo(ソクモ) | 1% 〜(要見積) | 法人・個人事業主 | 完全オンライン完結。電子書面でデータ管理がスムーズ。 |
💡ポイント
税務調査や決算時には「買取手数料の内訳が明示された契約書・振込明細」の提示を求められます。上記のような明朗会計を徹底しているサービスを活用することで、経理部門の手間を大幅に削減できます。
よくある質問(FAQ)
Q1:個人事業主(青色申告)でも法人と同じ勘定科目で処理してよいですか?
個人事業主(確定申告)であっても基本的な考え方は法人と同一です。手数料は「売掛債権売却損」または「支払手数料」として必要経費(事業上の費用)に計上できます。もちろん消費税は非課税となります。
Q2:2社間ファクタリングで利用者が売掛金を回収し業者へ送金する際の仕訳は?
売掛先から自社口座へ通常通り売掛金が入金された際、「普通預金 1,000,000円 / 預り金 1,000,000円」と記帳します。その後、同額をファクタリング会社へ送金(返還)した際は「預り金 1,000,000円 / 普通預金 1,000,000円」として相殺処理を行います。
Q3:通帳の摘要欄や決算書で「ファクタリング利用」が銀行に知られてしまいますか?
決算書の損益計算書(P/L)上で「売掛債権売却損」の金額が大きい場合、銀行の融資審査担当者はファクタリングの利用を察知する可能性があります。ただし、適切な資金調達による流動性確保として説明可能であれば、直ちにマイナス評価となるわけではありません。
Q4:freeeやマネーフォワードなどのクラウド会計ソフトでの入力時の注意点は?
クラウド会計ソフトで自動同期(銀行連携)を利用している場合、振込入金額(90万円)のみが自動抽出されます。この場合、明細を手動で展開し、「売掛金額面100万円」と「売却損(費用)10万円」に分けて入力(複合仕訳)を行う必要があります。税区分を「対外・非課税」に設定するのも忘れないようにしましょう。
まとめ:正確な会計処理で健全な資金繰りと決算修正を
ファクタリングの会計処理は、以下の3つの重要ルールさえ正しく押さえておけば、迷うことなくスムーズに完了できます。
- 手数料は「売掛債権売却損」(無ければ「支払手数料」)で費用計上する
- 債権譲渡取引のため、手数料に消費税は一切かからない(非課税処理)
- 売掛金から未収入金への振替を挟む「2段階仕訳」でキャッシュの流れを正確に合わせる
経理面での不安を無くすためにも、明細書や契約書面を透明かつスピーディーに提示してくれる優良事業者を選択し、不明な点は顧問税理士と連携しながら正しく帳簿を管理していきましょう。
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